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最高裁判所第二小法廷 昭和47年(オ)35号 判決

上告人

有限会社末廣商事社

右代表者

神谷伊一

被上告人

山岡伊次郎

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

原審の適法に確定した事実関係によれば、本件土地上に存する本件建物について昭和三六年一二月九日その所有者訴外鈴木蓉子と同人に対する債権者訴外岩佐テルエとの間に抵当権設定契約が締結され、その旨の登記手続が経由され、その後抵当権者岩佐の申立により競売手続がなされて昭和四一年一一月二日上告人が本件建物を競落してその所有権を取得したが、右抵当権設定当時本件土地も鈴木の所有であつた。ところで、本件建物について抵当権設定登記のなされる以前である昭和三六年五月三〇日本件土地について訴外株式会社センター商会のため仮差押登記がなされ、その後同社(商号をセンター電機株式会社と変更)の競売申立により強制競売手続がなされ、被上告人が昭和四三年三月一三日競落によつて本件土地の所有権を取得したというのである。右事実関係のもとにおいて、上告人において本件建物を競落取得するとともに本件土地について上告人のため法定地上権が成立するが、本件建物について抵当権設定登記のなされる以前に本件土地について仮差押登記のなされていることは前記のとおりであるから、右仮差押登録記後に右抵当権の実行の結果競落により本件土地について法定地上権を取得した上告人は、右仮差押が本執行に移行してなされた競売手続により本件土地を競落取得した被上告人に対し、法定地上権をもつて対抗しえないとする原審の判断は正当として是認するに足りる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(村上朝一 色川幸太郎 岡原昌男 小川信雄)

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